生活保護のこと・・あとで調べなくちゃ

asahi.com 6月1日の記事(2009年6月1日11時19分)
生活保護の代理申請、厚労省「待った」日弁連が反発>
http://www.asahi.com/national/update/0601/OSK200905310092.html

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(前略)
 厚労省が新たに見解を示したのは、1日発行の「生活保護手帳 別冊問答集2009」。生活保護法や実施要領の解釈を例示した619の問答の中に「代理人による保護の申請は認められるか」という項目を設け、回答例として「申請は本人の意思に基づくことを大原則としている」「要保護状態にあっても申請をするか、しないかの判断を行うのはあくまで本人であり、代理人が判断すべきではない」などと記し、「代理人による申請はなじまない」と結論づけた。問答集と同一内容の事務連絡が3月31日付で厚労省から各都道府県などに送られていた。

 厚労省保護課の担当者は追加の理由について「弁護士や支援者が本人を伴わずに申請に来た場合の対応について、自治体から問い合わせが多かった」と説明。「申請するか否かを、本人の意思を無視して代理人が判断するのは思想や人権の面から問題がある」と話す。

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 朝日新聞の「生活保護行政理解」については以前から???なところがあったので、この記事の取材も記者が何をどこまで理解して書いているのかを疑っているんですよ。
 だから、何をどう読んだらいいのか他の資料(たとえば日弁連関係とかね)を当たってみないとまだちゃんとしたことは書けないだろうなと思います。

 ただ、この記事にブクマをつけたらスターをいただいちゃったので、ブクマの100字作文で書ききれなかった思いは少し残しておこうと思います。

 ブクマのコメントには、

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代理人だけで申請に行くという状況がいまいちよくわからない。何度も「相談」のための來所をしないと申請書さえ出てこないから日程が合わなくなったってこと??同行したその日に決着がつかないことって割とあるよ  

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 と書いておいたのだけど、実際には、医療現場で代理人が申請のために動くしかない場合はそれなりにあるんですよ。ただし、病院に入院中の人の医療費を確保しなくちゃならない場合ですけどね。
 精神科疾患で症状がひどく、本人の自覚がなくて、「医療保護入院」での入院をしてもらうことになり(ただし、近親者が不明だったり連絡が取れなかったりして区市町村長同意に基づいて、というケース)の場合、医療費の請求の都合が発生するから、病院のケースワーカーが動くわけです。当然、市役所まで本人が出かけていって申請する、なんてことはできないわけで、逆に市の職員に病院まで来てもらったりするわけですね。
 同様に、身体疾患でも、本人が意識不明や衰弱していて入院が必要だったりする場合、どこからか医療費を捻出できないと死んでしまうわけです。病院だって、入院保証金とか入院費支払いの保証人とかを求めるわけですから。ほっておいたら死んでしまうような場合、たとえば民生委員さんがそういう人を見つけたらほっておけないでしょ。でも、民生委員さんは無給のボランティア職だから、民生委員さんが医療費の支払いを保障するというのも変な話です。
 「要保護状態は明らか」なので、一刻も早く保護を開始してもらわないと困るんですよね。病院としては収入なしの持ち出しボランティアをするわけにもいかないし(病院が潰れますよ)、入院させておいて治療しませんでしたというわけにもいかない。

 でも、この記事はそういう病気がらみの生活保護のお話を想像させる要素が少ない・・・厚労省の担当者のコメントにはちょっとそういうニュアンスがあるけどね・・・今、生活保護申請といった場合、どっちかというと、派遣村とかホームレス対策としての生活保護申請の面がクローズアップされていますしね。


 とにかく生活困窮しているけれども、日銭を稼いでいる人が保護を申請しようとする場合、一回市役所に相談に行って、その場で申請できることってなかなかないわけです。 
 まず申請してその申請が受理されて、それから調査が入って、調査の結果、保護が妥当と認められたら開始・・というのが本来の形だと思うんですが、悪名高い水際作戦というのか、はっきりとした病気があって働けないことがわかっていても、入院中でないとなかなか申請すらさせてくれないんですよ。まぁ、市役所側にも言い分はちゃんとあって、調査に時間が必要だからある程度、資料が整ってから申請してもらいます、なんてお返事をもらったこともあります。本人が働ける状態でなくとも、ご家族が収入があったりすれば、ご家族に送金援助できるかどうかを問い合わせてから、確認してから保護申請を受けますとか、銀行預金の調査がはっきりしたら受けますとか、いや、申請前にそれをするのはおかしいでしょ、なんてやりとりをしたこともあります。
 申請を受理すると、決定が後になっても、申請したその日から生保は開始されたということになって、医療費の支払いは始まりますし、生活扶助も日割りで支給されます。なんかどう考えても、一日でも開始を遅らせようとする苦肉の策じゃないかと思ったりしたものです。どこの自治体も大変なのはわかるんですけどね。

 ましてやワーキングプアの人の場合、「働けるでしょ」攻撃はもっとシビアだろうと思います。だからこその同行申請なんですよね。
 そういう人の申請援助をする場合、代理人のみの申請ってありうるのかしら・・・という素朴な疑問です。
 日銭を稼がなくちゃやっていけなくて、市役所があいている時間に何度も何度も出かけていくのは難しいってこともあるかもしれないなぁ・・と思ったり。でも、詰めの申請のときくらいはなんとしても休みを取るでしょう。生活かかっているんですから。とにかく代理人だけで申請に行くってかなり特殊な事態であるはずなんですが。

 日弁連の抗議はそれはそれで重要なんで、あとで、きちんと調べてみようと思っています。